バリー・カーズィンの旅 Ⅱ −SOUTH CHINA MORNING POSTより

バークレーのヒッピーからダライ・ラマ法王の専属医になるまで ~バリー・カーズィンの旅Ⅱ457e18633d7776aef32690b5bb21937e

Ⅰはこちら・・

NO ORDINARY ORDINATION 特別な戒壇式

何年か後、私は南フランスでリトリートをしました。私たちは女性も男性も髪の毛を剃り、僧侶・尼僧の服をまとい、いくつかの基礎的な誓願を行いました。ダラムサラに戻ったとき、ダライ・ラマ法王の元を訪れ、戒をくださるかどうか聞きました。法王はいくつか私にやるべきことを与えてくれ、1年後その報告に戻ると、大笑いして「よし、あなたに正式に僧侶の戒を授けましょう」と言いました。儀式の途中で、全員がお互いに手を重ね、ダライ・ラマ法王の息のツァンパの香りも嗅げるほど近くに立ちました。

KNOWLEDGE IS POWER  知ることは力である

ダライ・ラマ法王は西洋の医師とチベット医学の医師の少人数のチームを持っており、法王が世界の色々な場所で、治療を受けに行く所があります。ダライ・ラマ法王の近くにいるとき、誰もが幸せを感じます・・興奮するようなものではなく、深く、安定した喜びです。そしてプラクティスや瞑想はさらに良いものになります。この深く全体的な健康、健全さをただ感じるのです。

法王はとても落ち着いていて、しかし行動的で、目覚めていて非常に注意力があります。ときに厳しく見えるときもありますが、内側は愛と慈悲がすべてなのです。また、法王は類まれなるユーモアのセンスをもっていて、冗談を言ってはお腹の底から笑います。

法王の「マインド・アンド・ライフインスティテュート」は、天文学や量子物理学、脳科学や心理学の偉大なる科学者たちと30年もの間、ときには毎年、対話を行ってきましたが、その際に科学者は顎が外れるほど驚き「どうやってそれを知ったんですか!?」といわせることは珍しくありません。法王はただ、チェスプレイヤーが7つ先の手まで知っているように、様々な物事を理解しているだけなのです。

BED FELLOWS  ともに行動する仲間

私の部屋はダラムサラの集合住宅にあります。おそらく1960年代にインド政府によって建てられた古い建物です。私たちのうち一握りの人間がそこで寝ており、オフィスもあります。

私は何年か「マインド・アンド・ライフインスティテュート」の教員であり、今は特別研究員にもなりました。お給料をもらっていませんし、どちらかというとコンサルタントやアドバイザーのような感じです。また、27年間慈善医療を行う医師として活動してきました。全くお給料はもらっていません。ここ数年、インドで生活することはそんなにお金がかからないのです。私は日本や香港、アメリカ、ロシア、モンゴルで教えていますが、そのうち95%の場所でその土地の人々が私の移動経費やエコノミー航空券、シンプルですが清潔なホテルや食べ物を用意してくれています。私は医学や瞑想、健全な自尊心や、他の人を見下すことなく自分自身を鍛える方法などを教えています。

私はこれは夢ではないかと、いつも自分自身をつねって確かめています。ダライ・ラマ法王に仕えられることはとても光栄で、名誉あることだからです。

Dr.バリー・カーズィン、香港大学客員教授(記事発表時点、現在は香港大学名誉教授)

出展:South China Morning Postより(英文)