Compassion/慈しみの始まり

単純に言えば、「苦しみ」の反対は「苦しみが無い状態」ということですが、では「苦しみが無い状態」とはどういうものでしょうか?想像してみましょう。

平穏・平和な状態、幸せな状態…苦しみがないとき、私たちは幸せです。

では、人が幸せであることを望む・願うという気持ちは何でしょうか?「私はあなたをとっても愛していますよ」と言うとき…愛ですね。この愛というのは、相手の方、つまり「他者が幸せであるように願う」ということです。そして、他者が苦しまない・痛みに居ないように願う。このことを英語で「Compassion」、日本語にすると「慈悲」とか「慈しみ」というふうに訳されます。

では、このCompassion/慈しみというのは何でしょうか?これもやはり願う気持ちです。何を願うのかと言うと、他者が苦しみから解放されるのを願うということです。

Compassion/慈しみには、2つのレベルがあります。ひとつは、願うということ。そのこと自体が慈しみです。例えば、「彼女が痛みから解放されるといいなぁ。」と願う。これ自体もすでに慈しみです。願望を持つこと自体がひとつめです。ふたつめが、「あなたを助けてもいいですか?」というふうに聞くことです。つまり、他者の痛み、苦しみを取り除くために自ら行動することです。そこがまず、慈しみの始まりです。