
昨年開催されたロジョン・トレーニングに参加した、看護師をされている女性のHさんへのインタビュー内容です。
最初にDr.バリーを知ったきっかけ
お名前は以前から知人に聞いていて、実際に初めて参加したのは2015年に聖路加国際病院で行ったプログラムです。その前から自分でもマインドフルネスに関する本とかを読んでいて、「人が幸せにいきるために」というようなテーマや真の愛という質感に触れたいという思いが自分の中でありました。そのような中でバリー先生をよく知らないまま参加しました。そこでお話を聞いて、その愛情に溢れた内容と透明なお人柄に惹かれましたし、実際に自分の大切にしていることや考え方にとても響きました。
私の仕事場にも色々な人間関係があり、自分や周りとの関わりでは、いかに調和をもって活動していけるかも課題だと思っています。病院の中で、自分がどういう在り方でいられたらいいのかと考える中で、看護師1人ひとりの意識の癒し、考え方・あり方の癒しが必要だと思っていました。ただ私から働きかけをするだけでは大きな変化を起こすのは難しいですが、そういうことを実践され、あり方自体で体現しているバリー先生に初めてお会いして、この人こそ真実だと思いました。
職場で癒しが必要というのは、どういうことでしょうか?
職場のメンバーや関わる人たちが、お互いに感情にのまれてしまっていることがよくあります。私自身は調和を保っているのが好きなのですが、周りの人たちの人間関係のストレスやすれ違いが見えることがあります。そういうことは考え方や捉え方、意識で変わると思い「ストレスマネージメント」という会も持ったりしましたが、なかなかそういう意識を周りからすっかり変えるのは難しいと感じました。もちろん効果的だった部分もありましたが。
みんな信念や考え方、プライドとかあると思うんですが、そういうものに踊らされてしまって、ストレスを受けていると思います。人に対しても、自分に対しても、気づかずにやっていることが多いです。そういうところがもう少し癒されれば、みんな楽しく過ごせると思いますし、特に看護師として医療チームで業務を提供していく中で、コミュニケーションはとても大事な部分だと思います。
つまり、医療チームのメンバー同士の人間関係が課題ということでしょうか?
そうですね。今は特にスタッフの調整役になっていることも多いので、スタッフの意識を良い方向に向かせたいと考えているのもあると思いますが、
患者さんをケアするのには、自分自身をケアしないと、きちんとケアできないと思っています。そのためには、まず、自分で、そして周りの身近な人達とも良い関係が持てて、初めて、患者さんやケアを必要としている方へのよいケアが提供出来るという順番だと思います。
私も相手がより良くなるために、自分がどういう状態でいるのがいいかを考え続けるなかで、自身をケアする方法を学び、本当に愛のある状態というのはどういうことかを模索しています。
周囲の看護師さんの、医療者として大変なことは何だと思いますか?
もちろんそれぞれ本人に聞いてみないとわからないですが、自分に余裕がない時や、落ち着いた状態でいられないときには、患者さん、特に難しい場面や感情的な状況が出てきた時などに過剰に反応してしまうことがあると思います。
医療はダイレクトに人と関わる現場で、また患者さん自身も体調が悪くて来ているので、普段より心もバランスが崩れていたりします。そういう方たちにそれぞれに合ったケアをしたり、話をしたりする時の、対応の質を深めるということが看護師の課題としては一番だと思います。
でも医療の現場にはなかなかそういう教育がありません。あっても表面的な内容だったり、実践的なところまで、落とし込んだ質感のものは少ないと思います。私たち自身が、心身のバランスをとって癒すということは本当は看護の基本ですが、業務が忙しかったり、そういうことを教えてくれるもの自体が少なかったりするので、バリー先生が教えていることは医療者としても、人としても一番必要なところだと思います。
「相手のケアの前に自分がどうあるか?」
そこをもっと大事にしたいと思っています。
これまで繰り返し学ばれるなかで、ご自身の変化として良かったことはなんでしょうか?
バリー先生は全部が開けていて、上にも下にも相手をつくらないですよね。私たちって何かと比べてしまったりします。特に極端な人をみると、こうするといいのになって思ったりしますが、先生のあり方は、ただただ広い心で、そういう視点がないんだなって思いました。
そういう「みんなが平等である」という徹底した感覚や視点を目の当たりにしたことで、自分が揺らいでいるときに、それを思い出して原点に戻れるようになりました。
「きっと先生だったら、こういうときどうかな」っていう立ち返る考えを持てています。自分が一歩前進したい時や質感を深めたい時に、そのようなお手本があるのはとてもありがたいです。
あとは自分が今まで大切にしてきたこと、優しさ、思いやりなどは、社会で置き去りにされがちですが「本当に大切なことって、この方向性でいいんだ」っていう自信を感じられました。
看護師の学校でも道徳的なことや倫理の話はありますが、本当の人の慈愛に関して教えてくれる方はなかないません。知識レベルでの教育はあってもその実践が伴っていないことは多いです。存在そのものがそれを体現していて、目指すべきところ、何が大切かということをしっかり学ぶことができると思いました。
最後にロジョン・トレーニングについて一言お願いします。
人としての生き方を学べるプログラムだと思います。医療者としても、人としても大切なことを、自ら体現しているバリー先生から聞くことができ、それが普通の生活はもちろん、医療の現場に生かされたとしたら、医療の質は良くなると思いますし、すべてが変わるかなと思います。