
質問:
エンパシー(共感)は、相手の痛みを自分の中に吸い込んでしまっているとしたら、それに注意した思いやりはコンパッション(慈悲)であって、いわゆる「余計なおせっかい」にはならない、と理解しています。コンパッション(慈悲)に繋がっていく、エンパシー(共感)との兼ね合いを理解することが重要かと思っていますが、いかがでしょうか?
Dr. バリー・カーズィン:
そうですね。すごく気を付ける必要があるのは、「相手の人の痛みや苦しみを、自分の中には吸い込まない。自分のものにしない」という点だと思います。
エンパシー(共感)とコンパッション(慈悲)はきっちりわかれるのではなく、重なる部分があります。
相手の方が苦しんでいるのを、多少でも減らしたいと思うこと、そして行動することをコンパッション(慈悲)というとしたら、そのときの自分の感覚は良い感じや、幸せな感じがします。行動としては、誰かが傷ついている、苦しんでいるときに、私たちが価値判断をもたずにただ聴く姿勢でいることがコンパッション(慈悲)となります。
そのときに、その人の苦しみを自分のものにしないことが大切です。医療に携わっている方、教育に携わっている方、そして、対人支援など「人に提供する・尽くす」という形で仕事をする方にはつながる内容だと思います。相手の人の気持ちや痛みを自分のものにしてしまいがちで、それがバーンアウト(燃え尽き)に繋がりやすいことが共通しています。