空という智慧 – 見えている姿と真実の違い

日々瞑想を実践することは、とても重要になります。さらに瞑想を深く行いたいと望む方は勉強が必要となり、特に怒りや嫉妬心などの感情が上がって来た時にどう対応するのか、という知識を付けるということが非常に有効です。

そして、さらに深く実践したいという方は、仏教の空や智慧を学ぶ必要があります。私が仏教の智慧、つまり空のことをお話しするときは「Mind the gap – ギャップ(隙間)に気をつけなさい」と言います。ギャップとは「隙間」ということなんですが、ここでは「物事の見えている姿と真実の姿の違い」です。
これはいわゆる量子物理学や量子力学の見方に近くなっていきます。量子物理学では素粒子レベルで見える姿というのは、ありのままの現実ではないと教えます。

ですので、仏教で言う智慧、つまり空のことを学んでいくことで、私たちは自らのエゴに捕われている苦しみから自分自身を解放することができます。
そうすると、今まで別のところに使っていたエネルギーを、より他者に向かって使えるようになります。それは私たちをより幸せにし、双方にとって良いwin-winの関係にしてくれます。

ただ、この智慧というのは簡単ではありません。なぜなら私たちが普段思っている常識とは真逆だからです。普段は見えるもの、触れられるものが、そこに目に見える形であると思っています。しかし、ブッダはそれが誤りだと言っています。本当はそこに「ギャップ」があり、私たちが見たり、匂いを嗅いだりするものは、見えている姿と真実が異なっているのです

これは言葉で説明している思考の枠組みですが、実際はこの思考自体が現実ではないんです。こういう枠組みを先ず勉強して、それを知的に理解した後に、実際にもっと探求していくのです。
そして「目の前にあるこの姿は真実なのか」ということを問い続けていくと、やがて「それと関係のある自分は一体何者なのか」というところに辿り着きます。これを探求することは僧侶である必要はありません。どなたにでもオープンである、そういう学びです。

バリー・カーズィン(Barry Kerzin MD)