
質問:
「怒りのマネージメント」について、できるだけバランスがとれているリーダーでありたいと思っています。しかし、仕事でクライアントに対して怒りを感じたり、スタッフとの関係で怒りを表現してしまいます。年齢を重ねても変わることができていないと感じており、健全ではないストレス解消をしてしまったり、マインドフルネスを実践するものの、行き詰まっている感じがあります。どうしたら良いでしょうか?
バリー・カーズィンからの回答:
まずは勇気をもって、正直なことをシェアしてくれてありがとうございました。
アンガーマネージメントについては2つのアプローチがあると思います。
1つ目は、完璧に怒りを取り除くことはできますが、簡単です。
2つ目は、難しいですが、ゆくゆくは怒りを完全に根絶することができます。
2つ目のアプローチはより深い教えとなり、「空」や「無我」、「智慧」の理解が必要になるので、困難にはなります。なので今は、それはちょっと脇においておくとしましょう。
まず1つ目として、怒りを減らすのに役立つのは「期待」に関することです。
人によっては、自分に対して高い期待をかけています。おそらく子どもの頃から完璧である…と育ってきたことがあるかもしれません。もちろん、期待は、やる気や成長に繋がったりしますが、完璧を求めすぎると障害になってきます。自分に完璧さを求めすぎて失敗や鬱、自傷行為のきっかけを作っているということがあります。このことは、多くの人に思い当たることかと思います。
なので、自分への高い期待を、ほんの少し下げることをお勧めします。結果的に高い目標を達成しても、まずは低い目標を掲げてそれを達成して、達成感やウェルビーイングを感じてから、高い目標を目指すことです。
これをやったとしても、失うものは何もありません。逆にたくさんのものを手に入れます。メンタルヘルスの観点から言えば、ウェルビーイングや幸せを達成できるのです。
もう1つのアプローチは、マインドフルネスと関係があります。
まずはできる限り自分の内面で起きていることに気づく。
何を考えているか、感じているか。
過去や未来でもなく、「今、ここ」で起きていることに気づく、ということです。
そして、怒りの兆しの兆候に気づく。
怒りは、初期の段階で介入する必要があるからです。
心臓の鼓動が早くなるとか、呼吸が速くなる、汗、イライラ、不満が出てくる…。特定の状況や人に対して起こる…というのもあるかもしれません。
そういう初期の兆候に気づいたら、「今わたしは怒っているんだ」ということに気づく。
そして、そのような感情が雲に変わることをイメージにしてみます。その雲が空に漂って完全に消えていく…という想像をします。それが怒りの兆しとともに消えていく。最初からうまくはいかないでしょうが、何度か試していると、うまくいくと思います。
今の質問は、倫理的なリーダー(エシカル・リーダー)に必要なことです。なぜなら怒っていることが多いと、無私やコンパッションの姿勢になりづらいからです。
‐ 2018年11月開催「グローバル・リーダーシップ・プログラム ~コンパッション・イノベーション」より