
質問:
(Dr.バリーの)レクチャーの中で、「No real」という言葉がよく出てきますが、それはファンタジー(幻想)と同じ意味なのでしょうか?「リアル」とは何なのでしょうか?
バリー・カーズィンの回答:
「Not real」と言うときには、「現実ではない」という訳になりますが、「No real」と言うときは「現実でもあり・現実でもない」ということです。日本語にすると複雑です。
智慧についてブッダが教えたことで、二諦(にたい)というものがあります。それは、つまり2つの真理というものです。世俗的な真実と、究極的の真実です。世俗的な真実とは「表面的」ということです。究極的な真実とは「深い」ということです。
世俗的な真実というとき、「私たちがここにいる、見ているものは存在する」ということです。
より深く見ていくと、そこに混乱が生じてきます。
より深いレベルというのが、究極的な真実ということです。究極的なレベルでは「何事も見つけることができない」というレベルです。
量子力学に似ています。量子力学でも小さな粒子を分析しようとすると、濡れた手でせっけんを握っているように、掴もうとしても逃げていきます。
独立した存在として、実体のある存在として、それが存在するのか?と問いかけると、私たちはそこに存在しないことになります。
2つの真実と言いましたが、言語や概念のレベルでは「物事は存在する」というのがひとつです。もうひとつは「存在しない」ということです。これが難解で、カギとなる教えです。
なぜ重要かというと、自分の苦しみのカギをあける重要なカギだからです。人の苦しみを開ける鍵でもあります。
ここは1回で分かることではないので、何回も学んで、少しずつ見えてくる教えです。言葉や考えの次元からの練習になりますが、(前にレクチャーの中で触れた)「与える」ということを考えるとき、それが練習になります。
笑顔になる私、行為、受け手は現実ではない。
何かに傷ついたとき、傷ついた私はリアルではない、と気づきます。
練習していくと、感覚的にも思考的にも「私は傷ついたのではない」と気づきます。
これは一生をかけてかけて学んでいくものです。
‐ 2018年11月「瞑想リトリート」より