
2019年6月23日に、「医療従事者のバーンアウトと幸せ
~燃え尽きる前に水をかけるには」が開催されました。
医師や看護師の方など、多くの医療従事者の方々にお越し頂き、
実際の医療現場での課題に関するディスカッションなどが行われました。
Dr. バリーの講義では、マインドフルネスの方法や
様々な研究についての紹介がありました。
近年の研究で明らかになった、
コンパッション(思いやり)のある治療による患者さんへの影響は
・免疫力の向上
・痛み・不安の減少
・血圧の減少
・在院日数の減少
などがあるそうです。
また、ネガティブな感情のコントロールについての話もあり、
実際に一点集中(シャマタ)の瞑想や慈悲の瞑想など
マインドフルネスの実践も行いました。
その後の質疑応答では、様々な質問からさらに議論が深まりました。
・怒りのもつパワーについて
・コンパッションを持つ人ほどバーンアウトになりがちな問題について
・患者だけでなく、課題を抱えた保護者との関係性について
・医大での人間性教育の導入効果について
・病院でのコンパッショントレーニングの導入効果について
などの質問からのディスカッションがありました。
医療分野において世界的にはマインドフルネスや
コンパッションのトレーニングが広がっていますが、
日本ではまだ遅れている状況です。
プログラムでは、横浜市立大学医学部や、新百合ヶ丘病院での
マインドフルネス・トレーニングの導入事例の紹介などもありました。
参加者の方々にとって新たな気づきや共通認識の構築に役立った一方で、
今後どのような形で学びを継続していけるか?という課題もあるようです。
さらにアメリカなどでは、小学校からマインドフルネス教育の導入が始まっており、
より初期の段階からそのような習慣を培ってきた子どもたちが、
大学で医療教育を受けることで、どれだけ多くの治療効果を
患者さんたちにもたらすか・・ということを想像してみてほしい、
とのコメントもありました。
まだまだ課題はありますが、こうして共に理解を深めながら、
まずは自分自身のケア、そこから患者さんや関係者の方々との関係性構築、
そしてやがては教育システムの改善にむけて、歩んでいけたらと思います。
<参加者の声>
・実践的な内容も含んでいたこと、バリーさんから直接お話しを伺えたことが良かったです。自分自身のケアを怠らず、コンパッションを追求したい。最後のメディテーションが心地よく、続けます(看護師)
・自らの心のありよう、と言いますか、自身の心、考えなどを知り、調整・判断を少しでもできるようになりたく思いました(リハビリ士)
・怒り、奢り、モンキーマインド時の感情コントロールについて活かしていきたいと思います(看護師)
・満たされる = 心の安定であるということ。安定とはどういうことか、それを感じるのはどういうことか、自分の中で考え続けつつ、職場で話題にしていきます。小さくても発信していくことが大事(介護施設マネジメント)
・語られる平易な言葉が身の中に染み入っていく気持ちになり、平安が得られました。瞑想はとても平穏な時間でした。私には本日の瞑想中、珍しくモンキーマインドに陥らなかったように感じました(医師)
最後に講義部分から、 Dr. バリーからのメッセージをご紹介します。
私たちは、他の医師や看護師、学生たちのモデルになります。
なので言行一致が大切になります。
20世紀までは言っていることとやっていることが一致しなくても通用しましたが、
21世紀はそのような偽善的な行為は通用しなくなっています。
若い人たちは今、「Get real」と言っています。
偽善ではなく、正直に、実践的であることが求められているのです。
Dr. バリー・カーズィン
ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。