
みなさんの中にも、ランニングをする方、あるいは長距離走やマラソンをする方もいらっしゃるかもしれません。または、スポーツはいつも自分は見ている側だという方もいるかもしれません。
長距離走のコツというのは、ペースを作るということです。
例えば、スタートをした時にいきなり飛ばしすぎてしまいますと、長距離レースでは自分の体力が持たなくなってしまって、最後はバーンアウトしてしまいます。
今回のコロナウィルスの世界的流行のような状況で、ストレスが非常にかかりやすい時、あるいはカオスで混乱を極めている時、破壊的な状況であったり、コミュニケーションがあまり測れないような…そういった難しい状況である時も、注意が必要です。
そういう時こそ、私たちは冷静でいる必要があります。
自分の中に色々な感情が起きてくるかもしれませんが、特にネガティブな感情に対して、あまりにも簡単に反応をしないことです。反応してしまうと、チームの中で、より混乱やストレスを引き起こしてしまうからです。そういう時は、私たちが完璧であることもできないような状況です。実際、私たちが完璧でいられるような状況はない、と考えても良いと思います。
この「完璧であることはできない」ということの中に、「私たちは間違いを犯す」ということが含まれています。
間違った時には反省をして、それを振り返り、繰り返さないという態度が必要になりますが、例え間違えを犯したとしても、自分のことをそれで痛めつけないこと、特に現在のようなコロナウイルスによる危機的な状況では、必ず間違えは起こるものだ…と、知っておくことも必要です。
このような状況で非常に大切なのが、コンパッション、思いやり、それから慈悲の心です。
このことが、同僚同士の間で、チームの中でも、お互いに向ける必要がある、とても大切な心構えです。
さらに、他者に向ける思いやりと同時に、「自分自身に向ける思いやり」というのが大事になってきます。
「他者への思いやり・慈悲心を持つ」ということと、「自分自身への思いやり・慈悲心を持つということ」が、信頼を生み出すことになります。
この信頼というものが、医療従事者のチームにとって、つまりドクターとナースのチームにとって、非常に欠かせないものであり、さらに患者さんを交えたチーム全体にとっても不可欠なものです。
信頼というのは、私たちが他者への思いやりを持つ、慈悲心を持つということ、
そして自分自身への思いやり、慈悲心を持つということから生まれてきます。
‐ バリー・カーズィン(2020年 医療従事者向け講演より)