慈悲とはなんでしょうか?

慈悲とはなんでしょうか?

慈悲というのは、痛みや苦しみというのを減らす、あるいはやがては全くなくすことができるというように、まずは願うこと、そしてそのために行動することです。それが慈悲です。

この慈悲というのは、共感(エンパシー)と違って、感情的に半歩下がるということを意味します。

そうすることによって、相手の人と一体になっているわけでわない、「相手の人の靴を履く」という表現が英語にはありますが、真っ正面に全く一緒になってしまうというというような…そういう意味ではありません。

そのように感情的には下がるということは、心は完全にオープンにしていて、相手の方の痛みや苦しみというのを感じるということはありますけれども、ここにさらに認識であるとか、思考というものが加わって、全体を見る視点を持ち続けるということです。

そうすると相手の方と全く一体になってしまうのではなくて、少し半歩下がって全体を見て、相手の人の苦しみを減らす、あるいは苦しみをなくすようにするには、自分はどうしたらいいのかということがよく見えます。

そのようにすると、よりよい決断ができて、慈悲を実践することができます。その時に、私たちはお互いに相互に繋がっているという風に感じます。

それはどういうことかというと、今はその人が苦しんでいるけれども、それは私でもありうるということを考えられるということです。

今は、たまたまこのタイミングでこの状況で、この人がこのような苦しみを抱えているけれども、時期が違えば、状況が違えば、私もそういう状態でありうる、全く同じでありうると考えられるということです。

その意味では、お互いに繋がっている、いつも相互につながりあっているという風に感じることができる、それも慈悲に含まれます。

‐ バリー・カーズィン(2020年5月開催のプログラムより)